言い伝えや噂、物語により、事象は生物に例えられる。
実体を持たない妖精は心と共に人々の思い描く例えられた姿を持つという。
基本的に人にとって有益な事象の妖精は美しい姿で実体化するが、
恐ろしいものとして伝えられた事象の妖精もまた恐ろしい怪物の姿で実体化する。
人の姿を持つ妖精が多いのも人が想像した存在だからと言われると納得がいく。

海流を操る妖精・クラーケン。
その手に持つ矢印のような槍は海流を自在に操作できると言われている。
その能力は時に海難事故を引き起こすとされ、
船乗りの人間からは海に潜む魔物だと言い伝えられ恐れられた。
しかし海に生きる人魚は彼らを海の守護者として信仰した。
結果、人間と人魚、二つの種族の持つイメージが混ざった姿になっている。
人間から見れば異形の姿だが、人魚からは親しみやすい姿だと愛されているとか。

メルクはクラーケンでありながら人魚族の領主の元で働く兵士。
人魚の領域に侵入しようとする人間の船を海流を起こし拒む役目を持っている。
さらに家出癖のある領主の娘を監視し、領域の外へ出さないという役目もある。
しかし外の世界で歌姫になりたいという彼女の夢を否定していいのかと悩んでいる。