立派に成長した花を見た時の暖かい感覚、それが愛おしさで、
枯れてしまった花を見た時の冷たい感覚、それが悲しみ。

自分の中に芽生えた心、
それに身を委ねて見る世界は愛おしいものと悲しいものに溢れていた。
かたや生命の溢れる森林。かたや生命が尽き、朽ち果てた荒野。
かたや生まれゆく生命。かたや消えゆく生命。

でもやっぱり世界には愛おしいものが多い方が嬉しい。
だから私は花を咲かす。それしか私にはできないから。

花の成長の促進。妖精・アルラウネに与えられた事象の力。
それは妖精の本能ではなく、自らの意思による行使。
優しい心が引き起こす、慈愛の魔法。